Customer Harassment Policy

カスタマーハラスメントに対する方針

1 はじめに

(1)カスタマーハラスメント対策の背景

近年、カスタマーハラスメントが深刻な課題となっています。厚生労働省の調査では、パワーハラスメントに次いで多くの労働者が被害を訴えています。
当社が事業を行う東京都では、令和6年10月に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行され、事業者に対して防止措置を講じることが求められています。
当社においても、深夜早朝を問わない連絡や契約範囲を超える修正要求といった迷惑行為が確認されており、従業員を守り、健全な事業活動を継続するため、カスタマーハラスメント対策を強化することとしました。

(2)組織的な対応の必要性

カスタマーハラスメントは、従業員に精神的・身体的苦痛を与え、その尊厳や人格を傷つける行為です。特に小規模な組織においては、従業員一人ひとりが安心してその能力を十分に発揮できる良好な就業環境が不可欠です。
当社においては、対応を従業員任せにすることなく、会社として統一的な対応方法を定めることで、組織的にカスタマーハラスメント対策に取り組みます。

(3)マニュアルの位置づけ

本マニュアルでは、カスタマーハラスメントの定義、基本方針、判断基準や対応例、社内体制などを示します。

2 カスタマーハラスメントの定義

当社においては、カスタマーハラスメントを「顧客等から従業員に対して行われる著しい迷惑行為であって、従業員の就業環境を害するもの」と定義します。

「顧客等」とは、当社の商品やサービスを提供する顧客のほか、当社の事業に相当な関係を有する人、円滑な業務の遂行に当たって対応が必要な人を指します。「従業員」とは、当社で働くすべての人を指します。代表者、社員のほか、当社の事業活動に密接に関わる業務委託先のデザイナー、エンジニア等も該当します。「著しい迷惑行為」とは、以下のような行為を指します。ただし、あくまで例示であり、これらに限られるものではありません。

【著しい迷惑行為の例】

  • 暴力行為、暴言・侮辱・誹謗中傷、威嚇・脅迫
  • 従業員の人格の否定・差別的な発言、土下座の要求
  • 長時間の拘束、社会通念上相当な範囲を超える対応の強要
  • 深夜早朝、休日など、当社の営業時間外に行われる執拗な連絡
  • 契約範囲外の修正や作業を、追加の合意なく繰り返し強要する行為
  • 契約している保守サービスの範囲を超え、通信会社やホスティング業者の問題について、一方的に当社に責任を押し付ける行為
  • 会社や従業員の信用を棄損させる内容や個人情報等をSNS等へ投稿する行為
  • 従業員へのセクシャルハラスメント、SOGIハラスメント、つきまとい行為など

「就業環境を害する」とは、従業員が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、業務を遂行する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。判断に当たっては、平均的な従業者が同様の状況で当該行為を受けた場合、社会一般の従業者が業務を遂行する上で看過できない程度の支障が生じたと感じる行為であるかどうかを基準とします。

3 カスタマーハラスメントに対する基本方針

当社は、以下の「カスタマーハラスメントに対する基本方針」に基づき、カスタマーハラスメントに対して、組織として適切に対応します。また、この基本方針を社内外に広く周知します。

株式会社フルカウント「カスタマーハラスメントに対する基本方針」

1. はじめに

当社は、「成果を形に、誠実に。」という経営理念、そして「つくって終わりにしない、使われ、育つWEB制作を。」という事業理念の下、クライアントの目的や運用力を踏まえ、成果につながるWEBサイトを提供することに努めています。お客様からお寄せいただくご意見・ご要望は、当社のサービスの改善・品質向上において、大変貴重な機会と考えております。

一方、一部のお客様の要求や言動の中には、従業員の人格を否定する暴言、脅迫など、従業員の尊厳を傷つけるものもございます。こうした社会通念に照らして著しく不当である行為は、従業員の就業環境を悪化させるだけでなく、安全・安心なサービスの提供にも悪影響を及しかねない重大な問題です。

従業員の安全な就業環境を確保し、安心して業務に取り組むことが、ひいては、お客様とのより良い関係構築につながると考え、本基本方針を定めました。

2. 当社におけるカスタマーハラスメントの定義

当社では、カスタマーハラスメントを「お客様から従業員に対して行われる著しい迷惑行為であって、従業員の就業環境を害するもの」と定義します。

具体的には、以下のような行為を指します。あくまで例示であり、これらに限られるものではありません。

  • 暴力行為
  • 暴言・侮辱・誹謗中傷
  • 威嚇・脅迫
  • 従業員の人格の否定・差別的な発言
  • 土下座の要求
  • 長時間の拘束
  • 社会通念上相当な範囲を超える対応の強要
  • 合理性を欠く不当・過剰な要求
  • 会社や従業員の信用を棄損させる内容や個人情報等をSNS等へ投稿する行為
  • 従業員へのセクシャルハラスメント、SOGI※ハラスメント、その他ハラスメント、つきまとい行為 など

※「SOGI」(ソジ)は、性的指向(sexual orientation)と性自認(gender identity)の頭文字をとった略称

3. カスタマーハラスメントへの対応(社内)

  • カスタマーハラスメントを受けた場合、従業員のケアを最優先します。
  • 従業員に対して、カスタマーハラスメントに関する知識・対処法の研修を行います。
  • 相談窓口の設置や警察・弁護士等の専門家との連携体制を整備します。

4. カスタマーハラスメントへの対応(社外)

  • 問題解決にあたっては、合理的かつ理性的な話し合いを行いますが、当社でカスタマーハラスメントに該当すると判断した場合、対応を打ち切り、以降のサービスの提供をお断りする場合があります。
  • さらに、悪質と判断した場合は、警察や弁護士と連携の上、毅然と対応します。

4 顧客対応の考え方

(1)基本的な心構え

顧客からのクレームの全てがカスタマーハラスメントではありません。正当なクレームは、業務の改善につながる貴重な機会でもあります。当社においては、以下の基本的な心構えに基づき、適切な顧客対応を実現します。

  • 気持ちを理解して傾聴する
  • 顧客等と良好な関係を築くため、相手の気持ちを理解します。
  • 孤独・ストレス・不安など、顧客等の背景を推し測る姿勢で傾聴します。
  • 誠実に対応する
  • 第一印象が重要であり、表情や言葉遣いなどに注意します。
  • 不誠実な言動をしたり顧客等をクレーマー扱いしたりしません。
  • 共感を伝える
  • 相手との共感を深める上で効果的な「あいづち」を活用します。
  • 具体的には、「なるほど」「よくわかります」「そうなのですね」など、声に出して傾聴する姿勢を見せます。
  • 限定的な謝罪を行う
  • 責任が不明確な初期段階では対象を限定した謝罪を有効に活用します。
  • 具体的には、「ご心配をおかけし(ご不快な思いをおかけし)申し訳ありません」と謝罪します。
  • 一人で抱え込まない(対応者を代わる)
  • 相手の怒りが収まらない場合、躊躇せず代表者に相談し、対応を代わることを検討します。
  • 対応する従業員が感情的になって対応を代わらないことは避けます。
  • 自分が全て悪いと思わず、執拗に人格を責める言葉を真正面から受け止めないようにします。

(2)クレームの初期対応

当社においては、カスタマーハラスメントを未然に防止するため、顧客等のクレームの初期段階で、以下のとおり対応します。

  • 顧客等に寄り添う
    • 商品・サービスの不具合等を起因とした顧客からの改善等の要求自体は、社会通念上妥当であり、真摯に受け止めます。
    • 傾聴し、時には寄り添いながら顧客等の主張を正確に聞き取ります。
  • 要求内容を特定する
    • 要求内容を明確に特定した上で、議論を限定します。
    • 電話でのクレーム対応の場合、顧客等の氏名や連絡先等を確認し、要求内容を聞いた上で、同じ内容を復唱し、要求内容を特定します。
  • 事実関係を確認する
    • 5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)により正確な事実関係を確認します。
    • 事実を確認しないまま、顧客等の要求内容を認める発言はしません。
    • 調査・確認に時間を要する場合、目安となる日数を伝えます。
  • 複数人で対応する
    • 組織で対応することを明確にするため、原則、複数人で対応します。
    • 一人で対応せざるを得ない場合は、その旨を相手に伝え、やり取りを記録することを徹底します。
  • 対応場所を選定する
    • 原則、事務所のオープンスペースで対応します。
    • やむを得ず会議室等で対応する場合、密室にせず、従業員は出入口側に着席します。
  • 対応内容を記録・情報共有する
    • 対応内容は詳細に記録し、速やかに社内で情報共有します。
    • 会話は、相手の同意を得た上で録音することが望ましいですが、同意がない場合でも記録のために録音は可能です。
    • SNS等でのクレームはスクリーンショット等で証拠を保全します。

(3)顧客等の権利の尊重

顧客対応に当たっては、顧客等の権利を十分尊重します。ただし、どのような背景や事情があっても、暴力や暴言などの行為に耐える必要はありません。また、障害のある人への合理的配慮の提供は法律で義務化されており、基本的な考え方を理解しておく必要があります。

(参考)政府広報オンラインHPより抜粋

  • 不当な差別的取扱いとは?

    障害のある人に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否したり、サービスなどの提供に当たって場所や時間帯を制限したりするなど、障害のない人と異なる取扱いをして障害のある人を不利に扱うことをいいます。障害者差別解消法では「不当な差別的取扱い」を禁止しています。

  • 「合理的配慮の提供」とは?

    社会生活において提供されている設備やサービスなどは障害のない人には簡単に利用できる一方で、障害のある人にとっては利用が難しく、結果として障害のある人の活動を制限してしまっている場合があります。このような、障害のある人にとっての社会的なバリアについて、個々の場面で障害のある人から「社会的なバリアを取り除いてほしい」という意思が示された場合には、その実施に伴う負担が過重でない範囲で、バリアを取り除くために必要かつ合理的な対応をすることとされています。これを「合理的配慮の提供」といいます。

  • 合理的配慮の範囲

    合理的配慮は事業者等の事務や事業の目的・内容・機能に照らし、次の三つを満たすものでなくてはなりません。

    • 必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること。
    • 障害のない人との比較において、同等の機会の提供を受けるためのものであること。
    • 事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと。

    また、先述のとおり合理的配慮の提供については、その提供に伴う負担が過重でないことも要件となります。

  • 「過重な負担」かどうかの判断は?

    合理的配慮の提供が、各事業者にとって「過重な負担」かどうかの判断は、以下の要素などを考慮して、個別の事案ごとに具体的な場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。

    • 事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
    • 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
    • 費用・負担の程度
    • 事務・事業規模財政・財務状況

5 カスタマーハラスメントへの対応

(1)カスタマーハラスメントの判断

「2 カスタマーハラスメントの定義」に基づき、従業員の就業環境が害されるような著しい迷惑行為があった場合、カスタマーハラスメントとして毅然とした対応を行います。判断に当たっては、①要求態様、②要求内容、③時間・回数・頻度に着目し、総合的に判断します。

  • 要求態様: 侮辱的な暴言、脅迫、無断撮影などがないか。
  • 要求内容: 不当な金品の要求、土下座の要求など、社会通念を逸脱していないか。
  • 時間・回数・頻度:
    • 大声などの迷惑行為が長時間(例:30分以上)続いていないか。
    • 対応できない要求が何度も(例:3回以上)繰り返されていないか。
    • 業務時間外である早朝・深夜、休日に執拗な連絡がないか。

(2)カスタマーハラスメントへの対応の流れ

真摯かつ丁寧に対応したにも関わらず、著しい迷惑行為が収まらない場合、以下の流れで組織的に対応します。

  • 担当者の判断: 迷惑行為が続く場合、行為の中止を求め、対応を中断します。速やかに代表者に報告し、対応方針を相談します。
  • 代表者の判断: 担当者からの報告を受け、必要に応じて顧客からも聞き取りを行います。カスタマーハラスメントに該当すると判断した場合、対応を代わり、担当者の安全を確保します。その上で、「組織としての回答であること」「これ以上の議論はできないこと」を伝えます。
  • 警告・退去の命令: 膠着状態が続いた場合(例:60分程度)、対応の中止を伝達します。それでも迷惑行為が続く場合は警告の上、退去を命じます。暴力を振るう素振りが見られた場合は、直ちに退去を命じます。
  • 警察への通報: 退去命令に従わない場合は、最終警告の上、警察に通報します。

(3)警察との連携

暴力行為や器物破損など、身の危険を感じた場合は、その時点で速やかに警察(110番)に通報します。退去命令に応じない場合も、以下の手順で警察と連携します。

  • 対応の中止を伝える: 従業員の心理的負担等を考慮し、対応の中止を伝えます。
  • 行為の中止を求める: 迷惑行為を止めるよう2、3度繰り返して伝えます。
  • 退去を命令する: 迷惑行為を止めない場合、施設管理権に基づき退去を命じます。
  • 警察に通報する: 繰り返し退去を命じても従わない場合、最終警告の上、警察に通報します。
  • 警察官に状況を説明する: これまでの経緯を説明し、録音等の証拠があれば提示します。顧客を退去させたい旨を明確に伝えます。

(4)行為別の対応例

  • 暴言・高圧的な言動: 冷静に対応し、その場しのぎの安易な妥協はしません。迷惑行為であることを明確に伝え、繰り返される場合は対応を打ち切ります。
  • 執拗な要求(契約範囲外の要求含む): 早い段階でこれ以上対応できない旨を明確に伝えます。長時間に及ぶ場合(例:60分超過)は、対応を打ち切る旨を伝えます。
  • 土下座の要求: 明確に迷惑行為であるため、「そのような対応はできません」と毅然と拒否し、対応を打ち切ります。
  • 暴行: 直ちに警察に通報します。
  • セクシャルハラスメント: 性的な言動で不快になった旨を明確に伝えます。言動が改まらない場合はサービスの提供を打ち切り、必要に応じて警察に相談します。

6 社内の体制

(1)相談窓口の設置

カスタマーハラスメントに関する相談窓口を以下の通り設置します。相談したことによる不利益な取扱いは一切ありません。相談内容等の秘密は、当社のプライバシーポリシーに基づき厳守します。

  • 社内窓口:代表取締役 森元 朋広
  • 社外窓口:顧問社労士:FILコンサルティング&パートナーズ 黒田 隆治氏
    (連絡先:電話 090-5541-9503 / Email kuroda@fil-cp.com)

相談は、対面、電話、オンライン、メールで実施します。相談を受けた際は、事実関係を確認し、本マニュアルに沿って適切な対応を指示します。相談者の心身の状況に配慮し、二次被害が生じないよう丁寧に聞き取りを行います。相談者にメンタルヘルス不調の兆候がある場合、専門のカウンセラーや医療機関等への相談を促します。

(2)再発防止の取組

  • メッセージ発信
    • 代表者は、カスタマーハラスメントは断じて許さないという姿勢を明確に示します。
    • 事案の報告や相談によって人事評価が下がることはなく、適切に報告した場合はむしろ評価されることなどを、全従業員に周知徹底します。
  • 事例の検証と共有
    • 発生した事例を検証し、マニュアルの改定や対応方法の見直しに役立てます。
    • 従業員のプライバシーに配慮しつつ、定例ミーティング等で情報を共有し、再発防止に努めます。
  • 取組の見直し
    • 定期的に本マニュアルを含めたハラスメント対策全体の取組を見直します。

(3)研修の実施

全従業員を対象に、本マニュアルの内容や、ロールプレイングなど実践的な内容を含む研修を定期的に実施します。社外セミナー等も積極的に活用します。

7 企業間取引でのハラスメントの禁止

  • ハラスメント防止の基本姿勢
    • 当社は、取引先企業の従業員に対するハラスメントも許容しません。特に、業務委託先のエンジニアなどに対して、優越的な立場を利用した無理な要求を行わない・させないよう十分配慮します。
  • 取引先企業に対するカスタマーハラスメントの禁止
    • 全ての従業員は、取引先企業の従業員に対しても、敬意をもって接し、ハラスメント行為を行ってはなりません。
  • カスタマーハラスメントの事実確認
    • 当社と取引先企業との間でハラスメントが発生した可能性がある場合、相互に信頼関係に基づき、事実関係の調査に協力します。ハラスメントの事実が確認された場合は、取引先企業と連携し、共同で適切な措置を検討します。

8 参考資料

  • 110番について
    緊急の事件・事故の際に通報する警察の緊急通報用電話です。
    「何があったか」「場所」「時間」「犯人の情報」「被害状況」などを伝えます。
  • #9110について
    緊急ではないけれど、警察に相談したいことがある場合の相談ダイヤルです。
    電話番号は「#9110」です。